人肌
一晩寝て、少しは落ち着いたかと思いきや、さにあらん。
もちろん仕事中も…イライラしていて、いつものようではなかったです。
いつもならスルー出来るようなことで、ちょっと相手に喰って掛かってしまった。
あとからちゃんと、ごめんなさい言いましたけどね。
情緒はかなり不安定です。
そんな時はやっぱり何かに寄り掛かりたくなる。
守って欲しいと思う。
抱き締めて欲しいと思ってしまいます。
肌を感じたいと思うんですよね。
安心するでしょ、人肌って。
赤ん坊が母親を感じるのと一緒で、
人はみな、最奥にその欲望を持ってて正常なんだと思うんだよ。
そして、自分の愛する人にそれを求めるのは当たり前の事なんだと思います。
だから私も、彼と安心…したい。
彼に。 安心させて…ほしい。
もうすっかり終わった相手なのに、情緒が不安定になるとダメですね。
職場からの帰り道で、運転しながらまた私はしこたま泣いて、
なんども、なんどもなんども、母に謝罪をしました。
ごめんなさい。 お母さん。
あなたは父親に裏切られて、なおかつ我が子も、あなたを裏切ってしまったんですね。
幼い頃に父親の裏切りにあい、
母親と姉、3人で放りだされて、
想像ですがとても寂しい思いをしたんだと思います。
そして次女のあなたは、長女の伯母さんに比べて内向的だったから、
だからあなたは生前、口数が少なく、いつも暗い顔をしていたのか。
なんとなく、理由がわかった気がしました。
母は決して、自分から気持ちを話そうとするような性格ではなかったため、
彼女の本音はほとんど聞かぬままになってしまいましたが、
彼女がいつも無言でくゆらす煙草の煙が、
そしてその時の彼女の表情が、
全部を物語ってくれているような気がしたものでした。
あなたはやっぱり寂しい人だったんだ。
あなたのお姉さんのように、我が娘(つまり私の従姉)に父親の愚痴を言えればよかったのにね。
愚痴を言ってくれたら、私、いくらでも聞いてあげられたのに。
今さらそんなことを言っても、時すでに遅しです。
ですがもし、母からそんな愚痴を聞いていたら、
私の人生にも少しは影響があったかな、なんて思います。
あ…いえいえ、自分の責任を、母に転嫁しようとしているのじゃないですよ。
私は私で、罰を受けるんだと思います。
人でなし、人非人が受けて当然の報いです。