いつもとなりにいた人が…nekonezumiのブログ

2020年6月、いつもとなりにいた人が脳梗塞で虹の橋を渡りました。あっという間の出来事でした。

他虐(造語)(3)

「えー。出来るんじゃん。」と私が言って、


彼がニヤリとして。





ちゃんと松葉杖を持てたことが嬉しかったのか、


リハ室に行くために乗ったエレベーターの中で、


ちょっと得意そうに「オレのこと、ヘンなヤツだと思ったでしょ。」と言うから、


私、「うん、思ったよ。『あ~ケッペキだ、ケッペキ。』って。


だけど大したことないじゃん、グリップとかちゃんと持てるんだから」。




するとリフジン様は、隣にいた女性の先生に向かって、


「でもオレ、みんなに潔癖症って思われてるよね?」。


その先生はちょっと困った顔をして、「うん。」と小さな声で言いました。




そして彼は、エレベーターを降りた後に言ったのです。


「オレ、誰かに触るのイヤだっていう気持ちもあるけど、


誰かのものを触ってしまうの、汚してしまって申し訳ない、という気持ちもあるんだよ。だから他人のものを持てないんだ」。




彼は私に対して言い訳をしたかったのかもしれません。


「オレ、よく居る病的なキレイズキとはちょっと違うんだぜ」。


だけどあなたは、それが意味する真意までには思い至らなかったに違いない。


「あぁ、そうなんだ~。」とあやふやな返事に留めたけれど、


私は大きなショックを受けました。



あなた、今言ったこと、どいうことだか分かっているの?


なんて悲しいことを言うの?


それがとういうことだか、分かっているの?



私は、心理学の詳しいことはわかりません。


でも、彼が相手の汚さを嫌うのは、おそらく心理的な「防衛」ですよね。


根本は、彼は自分の「汚さ」を呪っている。


(実際には汚くなんかないのに。

人一倍不潔を嫌がる彼なのに。)


誰かのものを触ってしまってごめんなさい…って、


要するに、「触る価値のない自分」、「相手より汚い自分」ってことでしょう?


それは即ち、恐ろしく自己評価が低い、ということです。


「こんな汚い価値のない自分が、生きててごめんなさい」の証しです。


そんな無意識の、自己の存在に対する疑念が言葉になって表れたのでしょう。


そしてつまりそれが、


極度に相手を支配したがるサディズムの裏返しだと、


あなたは気が付いているのでしょうか。

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