指輪(4)
前にお話ししたことがあったかもしれませんが、
私は旦那さんからプレゼントされた指輪を、ずっとずっと、
左の薬指にはめていました。
付き合い始めてそんなに経たない頃、
私が彼にお願いして買ってもらったものでしたが、
亡くなってからもはずさずに、お守りがわりとしてずっと身につけて来ました。
もちろん結婚指輪ではなく、ファッションリングです。
事実上、付き合って12年、そのうち10年以上は一緒に暮らしていましたが、
その間、私は一度もその指輪を外したことはありませんでした。
旦那さんの一人息子は当時もう大学生でしたが、
奥さんはいろいろと問題のある方で、
旦那さんは旦那さんなりに気苦労が絶えなかったようです。
彼は、たまに自宅のある隣県に帰っては、
家族を旅行に連れていったり、それなりの努力はしていたようでした。
実は私、奥さんとは高校の同窓生で、お互い顔を見知った間柄だったのです。
なので、私も旦那さんから、いろいろ彼女の問題点は聞いていましたが、
私は私で彼女に対する罪悪感があり、そして息子さんにはそれ以上のものもあり、
彼が家族サービスをしに自宅に帰るのを、引き留めたことはありませんでした。
旦那さんが倒れ、救急車でICUに運ばれたとき、
私は腹をくくりました。
こんな状態でもう、隠し通せるものではない。
ここは覚悟して、私から奥さんに連絡を取るほか方法がない。
電話のあと、
彼女と、ちょうどコロナのため帰省していた息子さんは、
すぐに駆け付けてきましたが、
驚いたことに、
旦那さんはずっと自宅を開けていたのに、
奥さんも息子さんも、
夫、父親に「オンナがいる」とは微塵も疑ってはいなかったのです。
つまり、興味がなかったんでしょうね。
夫、父親は、自分たちの生活費や学費を稼いでくるだけの人になっていたから、
彼がどこで何をしようと、すでに興味を失っていたところがあったのだと思います。
それが良い事なのか悪い事なのか。
そのおかげで私は、彼との楽しい12年間を過ごせたわけなので、
単純には言えないところがあります。
でも、興味を失っていたためか、私に対する怒りもほとんど見せず、
(金銭的に私が彼に頼っていなかったことも大きかったんだと思います。
彼は稼ぎの大半を家に入れていました。
私は特に、そんなに稼いでいたわけでもないんですけど、
とりあえず、お互いに自立できていたのです。)
そのせいで、私は旦那さんのお通夜、お葬式、焼き場まで、全部立ち会わせていただくことができました。
これは後々、私が彼の死を受け入れていくことに、本当にとても助けになったことで、
その意味でも旦那さんのご家族には感謝しかありません。
指輪の話に戻ります。
私、この度は短い時間でふたりの男性を好きになったことで、
それを自分に再び問いかけてみると、
結局私は、旦那さんを失った寂しさから逃れたいんだ、という結論に行きつきます。
私、旦那さんと過ごした12年間で、
どうやら家族と楽しく過ごす時間に、味を占めてしまったらしいんです。
それまでは、そんなに暖かい家族に恵まれていたわけでもなかったので、
「一人で暮らすほうが、気を遣わずに、自分の時間を自由に過ごせるから絶対良い!」くらいに思ってた。
(つまり、私が好きになった男性ふたりと、考え方がそっくりですね。)
だけど、その凍った気持ち…まるで冷血動物のような…を暖かい心で溶かしてくれたのが、
私の旦那さんだったわけです。
実は、旦那さんからもらった指輪ですが、今、左指にその指輪はしていません。
ひとりめの彼を好きになったとき、
でも習慣で、しばらく指輪はし続けていて、
なんだかヘンな罪悪感が沸き上がって来たのです。
「これ、今、別に好きな人がいるのに、
旦那さんが買ってくれた指輪をし続けてるってなんかおかしい。
旦那さんに対しても失礼だし、彼にも何だか申し訳ないじゃないのよ」。
だからその時、15年以上し続けてきた指輪を外しました。
そして、ティッシュに包んでお財布の中にしまいました。
でも、その彼に失恋をした時も、
また、ついこの間ですが、リフジン様に失恋をした後も、
指輪を付けなおすことはしませんでした。
そして今も、つけていません。
指輪は家に帰ってきた後は、彼の毛髪を収めているフクロウの壺に
一緒に収めてあります。
なぜ、指輪を付けなおさないのかといえば、
一言でいえば、自立して自由に生きていきたいから、です。
もちろん彼は天国から見守ってくれているし、
以前長い時間を一緒に暮らしたパートナーであることに変わりはないのですが、
だけど、彼の時間はもう終わっていて、私の時間は続いている。
彼には本当に感謝しかないし今でも大好きだけれど、
でも、だからといって、
私が彼に義理立てをしたり自分を束縛したりすることは、
彼は望まないはずだし、
私としたら、彼に依存はせずに生きていきたい。
そんな思いがあるため、指輪ははずしたまま、しかし朝に晩に手を併せ、お線香をたく生活を送っています。
私は明日、お友達と福島県の三春というところに年越しをしにゆきます。
なので、今年は今日が最後の投稿になります。
この一年、拙い文章を読んでいただき本当にありがとうございました。
今日の投稿では、一応、自分の恋の話をまとめたつもりではおりますが、
如何せん、私のリフジン様に対する想いは未だに整理がついておりません。
なのでもしかしたら、来年もまた、続きの話をするかもしれませんが、
その時はどうぞよろしくお付き合いくださいませ。
なお、もしかしたら、来年はまた、まったく新たな恋の話をする機会があるかも。
うわ~~!
来年こそ、両想いの恋ができますようにっっ。
皆様もどうぞよいお年をお迎えくださいませ。
あたしと、あの人
(あの人って、だれ?)
お店でみつけた
ちょっと今風な飾り希。
可愛いでしょ。
今日、いきなり花屋さんから電話が来て、
勤務先の事務所から、
復職祝い(?)のお花が届きました。
先日「ご心配かけました」と挨拶に行った返礼らしい。
来年も、素敵な一年になりそうです。