いつもとなりにいた人が…nekonezumiのブログ

2020年6月、いつもとなりにいた人が脳梗塞で虹の橋を渡りました。あっという間の出来事でした。

想い人さんへ

あなたはいつも背筋をピンと伸ばしてましたね。


ユニフォーム、濃紺色のポロシャツと白のパンツが、とてもよく似合っていた。


リハビリの時に、並んで一緒に同じ運動すると、


あなたはまるで、NHKの体操の先生みたいに手足がスッと伸びて、


丈もあり姿勢がいいから、すごくカッコいいのよね。



私が横で、運動がヘタッピでおかしなポーズになって、


バランス取れずに「わっ」とか「きゃっ」とか言うたびに、


あなたは小さく「フフッ」と笑う。私が声を上げるたび。


時々出ちまうS気質だけど、それもまた、私的には好きでした。





ポロシャツの襟のところに、生地と同じ色の小さなボタンが2つ。


ユニフォームの可愛さは、たぶん女性スタッフが選んだから。


紺と白の品のあるユニフォームを着た


大柄なあなたの襟元だけがちょっと可愛くて。



胸には金色の糸でフルネームが刺繍されていて、


あなたのファーストネームが昭和っぽい(?)のを指摘したら、


「オレは昭和の頃、もう母親の腹の中に居たんだ。」と言ったっけね。





その頃(平成元年=昭和64年=1989年)もう私はすでに成人して24歳だったわけで、


その頃のことを思い出すと、悲しい年の差を感じます。


私が北関東で、生まれて初めての就職をして、


市会議員の選挙運動でウグイス嬢なんて柄にもない事をやって、


若くてピチピチしていた頃、


あなたはまだ、お母さんのおなかの中に居たなんて。






結局、誕生日がいつなのか聞かずじまいだったけれど、


8月当初で34歳、平成元年生まれってことは、


今年の8月までのいつかの日に、あなたは35歳になるんだものね。


それでもまだまだ青年貴族。(←この言い方こそ昭和の化石。)


若さってね。


だんだん、だんだん、気が付かないうちに失われていくものなのよ。


だから今のうち、充分若さを楽しみなさい。


内に秘めたエネルギーを、発散しなさい。





私の好きなミーシャの歌に、気になる歌詞があるの。


「男達は刻をかけて揺りかごを探す


 女達は時代をかけて揺りかごになる」


「冬のエトランジェ」の一節だけど、これ聞くたびに胸がじんとする。



ああ、私はあなたの揺りかごになりたかったよ。


あなたが求めるものは知っていたのに。


男って皆、結局、そうだよね。


多かれ少なかれ、女に母を求める。


私はそれを知ってたし、だから私は与えたかった。


私、きっと、あなたにとても合った、揺りかごになれたと思うんだよ。


あなたの苦しみを、私の愛で埋めたかったの。


心の隙間を満たしたかったの。


私には、それができた自信があるの。


私もその苦しみを、知っていたから。

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