いつもとなりにいた人が…nekonezumiのブログ

2020年6月、いつもとなりにいた人が脳梗塞で虹の橋を渡りました。あっという間の出来事でした。

指輪(3)

49歳イケメンの理学療法士さんとは、


急性期の病院での出会いでした。




急性期病院って、手術が終わったら少しの時間しか入院させてくれないから、


同じ病棟の患者さんたちは、みな1週間程度で退院していきます。


(あくまで整形外科の場合です。ほかの科については知りません。)


なので私ももし、その程度で退院していたら、


あんな苦しい恋はせずに済みました。





私の場合は、今回の怪我の前からすでに足が悪く松葉杖をついていたし、


しかも何より、義足の側の膝関節部位の骨折というレアケース(?)だったためか、


転院先(回復期リハビリ病院)が見つかるまで…ということで、


入院期間を長めに取っていただいたのです。


転院先は、相談員さんの手を借りて患者が独自に探すシステムで、


距離的に遠く、あまり転院例がない回復期病院を選んだため、


その分少し時間がかかってしまいました。




なので、急性期病院には結局1ヶ月半の間入院することになりました。


私の入院したその病院では、


リハビリテーションは毎日、基本30分です。


30分+αの短い時間で患者一人のリハビリを終わらせなければならないから、


リハの先生たちはみなさん、かなり必死(?)で、切迫感、焦燥感さえ感じてしまい、


それが患者にも伝染するというか、


後に転院した回復期病院とは、そこが一番、違っていました。




49歳のイケメンさんも、かなりピリピリした様子があって、


それは仕事の様子から見ても、こんな忙しいリハビリだから


やむを得ないんだろうなぁ、とは思って見てました。


彼が、何かの拍子に見せる、ちょっと下向き加減のまじめな横顔や、


コロナの感染予防のために、少しブルーがかったフェイスガードがメッチャ似合って格好良くて、


私は自分が、オトコはやっぱり外見から入るタイプだと再認識したわけです。



でも、彼が、1週間の重労働を終えて、週末、金曜日に少しテンションが上がることに、


私は何週目かの週末に気が付きました。




何週目かの金曜日に、私の名を呼ぶのに、いきなりファーストネームで呼んだのです。


ゆみさん、と。


「ドキッ」としました。


もちろん知ってはいましたよ。


よく、お年寄りの女性の患者さんを下の名前で呼ぶことは。


だけど! 私はまだとりあえず50代で、おばあさん呼ばわりはあり得ません!


いきなり、なぜファーストネーム? え? なんで、なんで??





そしてまた何週か経って、やっぱり金曜日でした。


リハビリ用ベッドの上で私の足のマッサージをしているときに、


急に私の手の甲に、彼の手のひらが重なって、


しばらく…確か10秒ほど…、そのまんまの時間が過ぎました。




この先生とは、例えば旅行好きとか、ネットサーフィンをよくやるとか、


趣味も似ていて、結構、意見も合って話も盛り上がったのです。


しかもイケメンで。




週末にテンションがちょっと上がるにしても、


患者を下の名前で急に呼ぶとか、手を重ねるとか、


まぁ、かなり無責任っちゃ無責任な話ですよね。


だけど、イケメンで。




私はかなり、混乱して、


自分の年齢も考えたし、


週末以外の、相手の漂々とした態度も気になったし。


(漂々としたいつもの態度と、週末の態度のギャップが、全然かみ合わなくて混乱した。)




でも、私の理性は、私の感性に結局負けてしまいました。


なりふり構わず、彼に告ってしまった私が居たのです。

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