まさかの坂
前にも書いたことがあるけれど、
リフジン様(またリフジン ネタかよ~)に会ったばかりの頃、
まだ私の気持ちが50歳理学療法士に向いていた頃、
でも今考えると、会ってそんなに経たない頃から、彼は私にこんな話をするようになっていたのよね。
「オレ、潔癖症っぽいところがあるんだよね」。
でもその頃まだ私、彼のことをただの”ガキンチョ”としか思ってなくて、
ちょっとアネサン風吹かせたくて、今考えるととっても残酷なこと、彼に言ってしまったのでした。
「そういうのって、自分で、自分の部屋とかをきれいにするのは勝手だけど、
家族にはあんまり強要しないほうがいいわよ。
神経ピリピリさせて、潔癖症、やられた家族は不幸だから」。
「ふぅん。」みたいな返事を、彼はしたと思います。
「やられた家族は不幸だから」。 私の口調に「裁き」があったのは、
それは、私自身に潔癖症に対する憤怒と憎悪があったからです。実は。
前にも少しお話したことがあったかもしれないけれど、
旦那さんの奥さんって人は、かなり精神病質な人でした。
今の言葉でいうと、サイコパスというのが当てはまるんでしょうか。
なんだか奥さんは、潔癖症もひどかったらしい。
旦那さんが帰宅すると、彼は疲れて帰って来るのに、
家に一歩も入れずにまず風呂で全身の汚れを落とさせ、
家の中、彼が歩く廊下等にはバスタオルが全部敷かれ、
バスタオルが敷かれていない部屋には、彼は入ることができない。
奥さんは真っ青な顔をして洗濯機を一日に7回も回す、
家中の廊下や彼の触った場所を、一日に何度も拭き掃除をするために手は赤切れて。
もちろん廊下に敷いたバスタオルは毎日交換するわけだし、凄いボリュームの洗濯と掃除のために時間は取られ、家族にろくに食事も作らない。
そんな気のふれた女のいる場所が、彼の城だったわけです。
だから私は潔癖症を嫌っていた。さげすんでいました。
私にとって潔癖症を患った彼の奥さんは、まさにサイコパス。
愛情や思いやりが欠落した人非人の奥さんなんて、
彼の妻である資格はない。 死んだらいい。
サイコパスなんて、生きてる資格ないよ。 早く死んだらいい。
真面目にそう考えていました、
潔癖症でストイック、サディスティックなリフジン様が、私の想い人になるまでは。
………。
だけど、サイコパスの意味って、
「愛情や思いやりが欠落した人非人」であるならば、
あの人、そんな人じゃないわよ。
「リハビリ頑張ったからだよな」と言いながら、
大きな暖かい手で、私の手をがっちり握ってくれた人だもの。
それに、さっき、ふと思ったの。
たぶん私の気のせいだけどね。
私から電話番号を受け取って、あんなに喜んだ彼が、
一日置いたあの日、いきなり冷徹な…まるで仮面をかぶったサイコパスのように…態度を硬化させたのは、
もしかして、あたしがあの言葉を言ったからじゃないの?
「家族には強要しないほうがいいよ」。
「やられた家族は不幸だから」。
もしかして彼、私を不幸にしたくなかった?
潔癖症のオレが関わることは、相手を不幸にすることだから?
家族だけではなく、関わる人を全部、オレは不幸にしかねない………。
だから態度が急に変わったの・・・・・?
でもまず、そんな事よりも、私ってなんて残酷でひどいことを彼に言ってしまったんだろうと。
彼のところに速攻で吹っ飛んでいって、頭を下げたい気分です。
それに。あぁでも、もしかしたら。あんなに急な変化って………。
なんて。相手を傷つけてしまった事よりも、やっぱり自分の恋路を想う、哀れで我が儘な私です。