いつもとなりにいた人が…nekonezumiのブログ

2020年6月、いつもとなりにいた人が脳梗塞で虹の橋を渡りました。あっという間の出来事でした。

怒り


この間訪れた2箇所のうち、


もうひとつの美術館では、私、自分でも驚く心境の変化がありました。





Does the Future Sleep Here?


「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」という邦題が付いた、この企画展は、門外漢の私にとってほとんど理解不能なテーマではありました。


ただし芸術は、観た側の印象や感想が真実…だそうですし、


少しだけ、当日受けた私の心境の変化をお話ししたいと思います。






こんな展示は初めて!でした。


アートより、文字の書かれたパネルのほうがたくさんあるのです。









『この美術館には基本的に遠き異邦の芸術家たちが残した過去の作品群だけが集まっている場だが、


それらは死者の所産であり、生きているアーティストらのものではありません。


…………。


(しかし)これらの記憶を紐解くなら、国立西洋美術館はじつのところ、未知なる未来を切り開くアーティストたちに刺戟を与えるという可能性を託されながら建ったと考えることができます。


けれども、国立西洋美術館が実際にそうした空間たりえてきたかどうかは、いままだ問われていません。


……。「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」。これは国立西洋美術館の自問であると同時に、参加アーティストたちへの問いかけです。』





美術館から壮大な問いかけが発せられ、それと同時にいくつかの問題提起がありました。


その一つが、


美術館を観に来る市民を暗黙のうちに自律的な個人、健康な身体、いわゆる近代的な「市民」と想定してしまい、他を排除しているのではないか…というものでした。



所謂「マジョリティ」を一般市民と置き換え、マジョリティに属さない者…マイノリティを無意識のうちに排除しているのではないか…という問いかけ。



他にもたくさんパネルはあり、ひとつひとつ読んでいくうちに、


私の心の中に、随分長いこと忘れていたある感情が、沸々とよみがえってきました。




それは、「怒り」です。


激情と共に沸き上がって来たのは、「怒り」。




歯を食いしばるほどの「悔しさ」と、


激しい感情を抑えきれずに湧き出す涙と、


嗚咽とで、


自分でもしばらく、激情の底にあるものが何かがわからずにいました。




でも、思い出したのです。


まだ学生の頃でしたが、純粋に、社会や組織や制度に対して抱いていた感情。


もしくは社会人になってから後、男親や既婚男性を含む「男性」そのものに抱いた感情。




それは、「怒り」でした。


かなり純粋な、他の感情を一切含まない、強い「怒り」の感情。


心臓と胃のあたりが絞られるような、息が苦しくなるような「怒り」です。




自分がマイノリティであることと、怒りの感情が結びついたのは、初めての経験でした。


でも思い出せば、学生の頃すでに私は、とても似た感情を抱いていました。


ただ、それが、「自分がマイノリティであること」に端を発する怒りであるとは気が付きませんでした。


単に、社会や制度や組織を憎む、一時代前の学生運動…革マルとか中核とか、


そういった、ある意味純粋な若者たちが持つ怒りと同種のものかと思っていました。





この怒りはどこへ向くものなのか。


私を少数者にした原因は何か、or 誰か。


社会、制度、組織なのか。 


あるいは私の原家族か。


あるいは、私と関係のあった既婚者か。


それとも、原因は自分自身にあるのか。


そもそも私は自分が少数者であることを、いまだに受け入れることができないでいるのか。


それは何故? ………。





以下の2枚の写真。


真ん中ほどにある文章に対する答えが、数多くの付箋に書かれて張り付けられています。





依頼の文章は


「あなたの心や体を支配するものやひとは、なんですか?


それをかいてください。言葉でも絵でもかまいません。」というもの。


それに対するたくさんの答えが、一枚一枚の付箋に書かれています。


もしよかったら、読んでみてね。




今回の小旅行の目的は、この美術館ではありませんでした。


「せっかく近くまで来ているのに、観ないのは勿体ないし。」というさもしい根性で訪れました。


だけど、成果は大きかったです。


自分の中に埋もれていた強い怒りに気が付くことができました。


大きな一歩を踏み出せたことになります。


本当の自分を知るための。




もしかしたら神様が、


もしかしたら旦那さんが、


ご褒美をくださったのかもしれません。



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