いつもとなりにいた人が…nekonezumiのブログ

2020年6月、いつもとなりにいた人が脳梗塞で虹の橋を渡りました。あっという間の出来事でした。

ふたりだけのブーム

テレビで、市内にある動物園の映像が流れていました。


その動物園は、旦那さんと何度か訪れたことがあります。


象さんとかゴリラとか、いろんな動物が居ましたが、


旦那さんと私が一番気に入ったのが、カピバラでした。





そんなに大きなスペースではなかったけれど、


小さな水場のある囲い地に、


確かお母さんカピバラと子供が何匹か、居たと思います。


子供たちだけでなく、お母さんカピバラも、もう可愛くって可愛くって……。


二人でしばらくそこから動けずに、見入っていた覚えがあります。




そしてその日から、二人の間におかしな遊びというか、ブームが始まりました。


ブームと言ったって、


ただ、まっすぐ前を向いて、ゆっくり、「カ・ピ・バ・ラ。」と言うだけ、です。


だけどひとつだけルールがあって、


できるだけカピバラのような顔をするのです。笑。


カピバラのような顔をして、まっすぐ前を向いて、ゆっくり「カ・ピ・バ・ラ。」と言う…、


という遊びなのでした。





カピバラのような顔って、どんな顔だかよくわからないけど、


カピバラになったつもり、になるわけです。


でも、なんせやるたびに、相手の表情がなんだか可笑しくって、


やってるうちに、いつも、ふたりともゲラゲラ笑い転げてしまうのでした。


多分、外部の人が見たら、何がおかしいんだかよくわからないのでしょうけどね。


ふたりだけがわかってて、


でも、それだから、余計に面白いのかもしれません。





今は、「カ・ピ・バ・ラ。」と一人で言っても、当然、おもしろくも楽しくもないし、


それどころか、それだけで涙が出てきてしまうような心境になります。






今日はテレビで、カピバラは映らなかったけれど、別の動物の棟が写っていて、


そばを一緒に歩いて、その棟を見た記憶があって、


思い出がいっぺんによみがえりました。


あの動物園に二人でもう一度行ってみたい、と思いました。


「カ・ピ・バ・ラ。」と、二人でもう一度、言ってみたい。


そして二人で、大きな声で笑いたい。




あの頃は楽しかったな。


あの時みたいに、お腹が痛くなるほど笑い転げる…なんてこと、


旦那さんが死んでから、一度もないし、


これからも、たぶんもう、無い気がします。

×

非ログインユーザーとして返信する