訃報
仕事をしていたら、スマホから着信音が鳴りました。
画面を見ると、友人からの電話だったのですが、
虫の知らせだったのか、すぐには出ずに、
「昼休みに、クルマの中からゆっくり掛け直そう」と思いました。
昼は早めに食事を済ませ、
落ち着いて電話するために自分のクルマに移動して、
電話を掛けると、友人はすぐに出てくれました。
簡単なあいさつを交わした後、彼女が口にしたのは、
「主人が死んだのよ。」という言葉でした。
なんて言ったらよいか、本当に言葉に詰まるものなのですね。
仕事上は時々口にしますが、
プライベートでお悔やみなんて、
しばらく、言う立場に立った事がありませんでした。
電話をくれた友人は、友人とは言っても私よりかなり年配の方で、
うちの旦那さんとも、以前親交のあった人でした。
それに、今回亡くなったご主人様には、
もうだいぶ前の事にはなりますが、私自身も随分お世話になったのです。
つまり4人ともが、ずっと前からの旧知の仲でしたし、
当然、2年前にうちの旦那さんが死んだことも知っていました。
ご主人が亡くなったのは3月末とのことで、
後で数えてみると、49日が明けたばかりでした。
私の経験からすれば、49日が明けたあたりで少しずつ現実味が増すというか、
寂しさが身に染みてくるというか、
確かそんな時期だったような覚えがあります。
現実を受け入れるのが苦しくて辛くて、そんな時に、
旦那さんを亡くした私に電話をする気になってくれたんだと思います。
なんと言葉を言っていいかわからぬまま、
絞り出すように、「元気を出してくださいね」と言いました。
だけど自分で、「なんて勝手な物言いをしたものか。」とちょっと自己嫌悪です。
私自身、もうすぐ2年前になるあの時に、元気なんて出せるわけなかったよね。
たぶん彼女は今、2年前の私と酷似した状態だし、酷似した思いなんだよね。
彼女、旦那さんが恋しくて、会えないことが辛くて、今どれだけ苦しい思いをしているのだろう。
仕事帰りのクルマの中、いろんなことを考えながら、
しばらくぶりで滅茶苦茶に泣きました。
……でも正直に言えば、
私は、ご主人の死を悲しんで泣いたのではなく、(過去にお世話にはなったけど)、(もう20年以上前の話なので)、
友人の気持ちを考えて泣いたのともちょっと違っていて、
私は、2年前の私自身の気持ちを思い出して泣いたのです。
帰って来て鏡を見たら、泣きはらした目がまっかっかに充血していました。
旦那さんが亡くなってもうすぐ2年になる今、
あの時を思い出して…と、旦那さんが私にくれた想いだったのかもしれません。