記憶の上書き保存
旦那さんが元気なころは、美容室に行くたびに、お店の人に「この間どこへ行った…、ここへ行った…」と旅行の(自慢?)話を聞いてもらっていたのですが、
旦那さんがいなくなって、旅行の話はすっかりできなくなったので、今日は「最近ヘタの横好きでミシンに凝ってる話」をしてきました。
ミシンと言えば、今、カッポウギを作ろうとしています。
エプロンじゃなくて、カッポウギです。
私は冬はぜったいカッポウギ派なのですが、いまいち気に入ったカッポウギを持ってなくて、
難しそうだけど作ることにしました。
型紙を起こし、布を断ち、接着芯を張るところまで終わったところです。
髪の毛カットをした帰りに、1時を過ぎちゃったのでお昼を外食することにしました。
でも、近くのお店はみんな、旦那さんと行ったことがあるところばかりです。旦那さんとの思い出があるお店は、行くのに大きな決心が必要です。
だけど遠くの店に行ってたら2時回っちゃうなぁ…と思い、結局近くのラーメン屋に入ることにしました。
旦那さんと随分一緒に行ったラーメン屋さんです。
最近は健康を考えて、あまりラーメンは食べないようにしていたみたいだけど、前はラーメン大好きで、私もよく付き合わされました。
だけど旦那さんはラーメンに入っている焼き豚があまり好きじゃなくて、必ず私にくれるのです。
餃子は一時期、お酢と塩だけで食べてたけど、やっぱりお酢と醤油とラー油の組み合わせに戻ったようでした。
そんなことを思い出しながら、ひとりで寂しくおいしいラーメンを食べました。
だけどたぶん、私もうあのラーメン屋さんには、次からそんなに抵抗なく行けるのです。
あの店はもう、私の中で、「旦那さんと一緒に行った店」ではなく、「私一人で食べに行けた店」になるのだと思います。
つまり、「外食OKの店」として上書き保存されたというか。
「クリアしたぞ」みたいなヘンな満足感があるんですよね笑。
そうやって、旦那さんが逝ってしまってからの時間が長くなるにつれ、
いろんなことが、旦那さんはもういないものとして、だんだん上書き保存されて行くのだと思います。
そしてだんだん彼の思い出は薄れてゆくのかもしれません。
…さびしいなぁ。