思い出した
勤め先が老人介護施設なので、時々おじいさんおばあさんの旅立ちに出会います。
旦那さんがいなくなってからも何件かあったけれど、
館が違ったり、休みの日だったりして、
その場に出会ってしまうことは今までありませんでした。
ところが、何日か前から怪しいおばあさんがいらして、
今日の夕方とうとう旅立たれました。
私たちはその度に一階の玄関でお見送りをします。
今まではいつも、もちろん迎えに来られたご遺族に失礼の無いようにしてはいますが、
さすがに今日は、旦那さんが亡くなった時のことを思い出して
涙をこらえるのに必死でした。
葬儀会社の白衣を着た男性がふたり、ご遺体を引き取りに来ました。
白い布を顔に被せられたご遺体が運ばれてきたとき、
白い布の下にあるのが亡くなったおばあさんなのか、うちの旦那さんなのか、
私は一瞬わからなくなってしまいました。
一種のフラッシュバックというものなのかもしれません。
ストレッチャーに乗せられて、硬い床の上を運ばれてゴロゴロゴロゴロ音がします。
体に響くし、痛いし、心地悪かったよね…ごめんね。
体の周りにアイスノンをいっぱい入れられて、冷たくてヒリヒリしたでしょ…ごめんね。
助けてあげられなくって…ごめんね。
気づいてあげられなくって…ごめんね。
一人で逝かせてしまった私を許して。
ごめんなさい。ごめんなさい。
ごめんなさい。