逝き方
たぶん、彼が一番望んだ逝き方だったと思います。
もしかしたら、事前(?)に神様に頼んでおいたのじゃないか、と思うくらいです。
だって、「ぽっくり」だもの。
亡くなる前、梗塞の予兆の腰痛があったり、体調が今一つ…と感じていたらしいから、
「ぴんぴんころり」ではないにしろ、
倒れた時にも、痛みや苦しさや異常を感じなかったらしく、
「靴が脱げてしまって、履きなおそうとしたら転んじゃったんだよ」と言っていました。
「大丈夫だよ、大丈夫だよ、救急車なんて必要ないよ。」とも。
多分、病気の苦しみもなく、後遺症で苦しむこともなく、
人に迷惑もかけず、死ぬ苦しみも恐らくなく、
かなり理想的な逝き方だったのでは…と感じます。
救急病院に運ばれてすぐに、治療のために麻酔をかけられ、
そのまま二度と意識が戻ることはありませんでした。
だから、きっと、もしかしたら、
自分が死んじゃったことを暫くの間わからなかったかも、なんて思います。
救急車で運ばれたのだから、多少ヤバいことになったなと思っていても、
病識がないままで目を覚まさなかったのだから、
死ぬ恐怖…というのもなかったのじゃないかな。
ほんとうに、他人事(?)ながら、まったくあと腐れのない、あっぱれな逝き方でした。
多分、人の死に方で、一番理想的ではないかな、なんて思います。
少なくとも、
いつもなんとなく運がよくって、損なクジを引かない、
すごく彼らしい逝き方だったなぁ、と思います。