いつかは必ず終わるのです。
え?と思いました。
今日、帰り道、アパートが見えるまで、
全然旦那さんの事を思い出さなかったのです。
…もちろん、クタクタに疲れていた…ということはあったのだけど、
今までは、いくら疲れていたって、
仕事の帰り道で旦那さんの事を思い出さないなんてこと、一度たりともありませんでした。
今日は事務の人が皆忙しくて、私が一人で電話対応をやっていました。
だからとても疲れて、帰り道は気が抜けて、ぼんやりしながら運転してたのですが、
それにしたって初めてでした。
アパートが見えるまで、旦那さんの事を思い出さないなんて。
え?と思って。
強い罪悪感を感じて。
………そしたら、びっくりするような不思議なことが起こりました。
昨日まで明るく光っていた玄関、足元のソーラーライトが、
まったく光っていなくて、真っ暗なのです。
私には、まるで旦那さんが怒ってしまったように思えてなりませんでした。
ソーラーライトは、足が悪い私の足元を照らすために、
生前、旦那さんが取り付けてくれたものです。
今までは、いくら曇りの日でも光を溜めて、私の足元を照らしてくれていました。
それなのに、今日は真っ暗で、全然光が灯っていませんでした。
確かに今日は嵐のような雨天だったから、
だから光を集められなかったのかもしれないけれど、
でも、今までは曇りの日だって、それなりに灯っていてくれたのに。
あーあ。
旦那さん、私に忘れられちゃったように感じて、すねちゃったのかしら。
忘れてなんかいないんだよ。大好きなんだよ。
もしかして、ソーラーライトは壊れちゃって、明日からはもう灯らないの?
えー。 やだよ、そんなの。
いつも、私の足元、灯しててくれたのに。
遺影の前で、苦情を申し立てました。
だけどいつかは、光が灯らなくなる日は来るんだよね。
それはもしかして、明日じゃないかもしれないけど、
いつかは、必ず。
旦那さんの命が終わったように。
私の命もいつか終わるように。
すべてのものは、いつかは必ず終わりが来るんだよね。