部屋の中の大きなゾウさん
この間読み始めた本…「OPTION B」…に、興味深い事が書かれていました。
ちなみに先日も書いたことがありましたが、
「OPTION B」というのは死別を経験したアメリカ人の女性が
自分の経験や考えをまとめたものです。
死別者は、以前の生き方(OPTION A)はできないけれど、別の生き方(OPTION B)を…という意味らしいです。
興味をひかれたのは、
死別した直後、周りの友人たちが旦那さんが亡くなった事に触れない…話題にしない…ことについて書かれた部分でした。
周りの人たちは死別した人に気を使って、その話題に触れないようにするのだけど、
死別した本人にとっては、それはとてもおかしなことで、却って辛い気持ちになる…という趣旨の事が書かれていました。
そしてそれをブラックジョーク的に、
「部屋の中にゾウがいるのに、皆それに気が付かないふりをしている」と書かれていました。
私自身、職場で、同じ経験をしたことがあります。
お葬式の次の日から普段と変わりない勤務をしていて、
なぜ誰も、私に励ましの言葉の一つもかけてくれないのだろう、といぶかんでいました。
詳しく書けば、実は一人だけ、一番親しい職員さんが私を励ましてくれたのですが、
それは言葉ではなくメールで、「気を落とさないでね」と書かれたものでした。
客観的に見ることができるようになった今は、
それが皆の気遣いだったし、
声掛けはある意味「触ってはいけないもの」的なタブーだったこともわかるのですが、
当時は本当に摩訶不思議でした。
「私がこんなに苦しい悲しい思いをして、それでも休まず頑張って出勤しているのに、
誰か何か言ってくれてもよいはずだ」と思ったし、
だんだん怒りが沸いてきて、
「うちの職場はなんて冷たい人たちばかりなんだ!」と恨みにすらなりました。
でも思うに、もしかしたら私も逆の立場になったら、
死別を経験した今でも、声をかけることに勇気がいるかもしれません。
だから覚えておこうと思います。
私自身が、あの時、声をかけて欲しかったこと。
苦しくて悲しい気持ちを、誰かに聞いてほしかったこと。
だけど決して「元気を出して」なんて言わないで、
「うん、うん、うん。」と相槌を打ちながら、
苦しい胸の内に寄り添ってあげられたらいいのかな…と思いました。