いつもとなりにいた人が…nekonezumiのブログ

2020年6月、いつもとなりにいた人が脳梗塞で虹の橋を渡りました。あっという間の出来事でした。

部屋の中の大きなゾウさん

この間読み始めた本…「OPTION B」…に、興味深い事が書かれていました。


ちなみに先日も書いたことがありましたが、


「OPTION B」というのは死別を経験したアメリカ人の女性が


自分の経験や考えをまとめたものです。


死別者は、以前の生き方(OPTION A)はできないけれど、別の生き方(OPTION B)を…という意味らしいです。






興味をひかれたのは、


死別した直後、周りの友人たちが旦那さんが亡くなった事に触れない…話題にしない…ことについて書かれた部分でした。


周りの人たちは死別した人に気を使って、その話題に触れないようにするのだけど、


死別した本人にとっては、それはとてもおかしなことで、却って辛い気持ちになる…という趣旨の事が書かれていました。


そしてそれをブラックジョーク的に、


「部屋の中にゾウがいるのに、皆それに気が付かないふりをしている」と書かれていました。






私自身、職場で、同じ経験をしたことがあります。


お葬式の次の日から普段と変わりない勤務をしていて、


なぜ誰も、私に励ましの言葉の一つもかけてくれないのだろう、といぶかんでいました。


詳しく書けば、実は一人だけ、一番親しい職員さんが私を励ましてくれたのですが、


それは言葉ではなくメールで、「気を落とさないでね」と書かれたものでした。





客観的に見ることができるようになった今は、


それが皆の気遣いだったし、


声掛けはある意味「触ってはいけないもの」的なタブーだったこともわかるのですが、


当時は本当に摩訶不思議でした。


「私がこんなに苦しい悲しい思いをして、それでも休まず頑張って出勤しているのに、


誰か何か言ってくれてもよいはずだ」と思ったし、


だんだん怒りが沸いてきて、


「うちの職場はなんて冷たい人たちばかりなんだ!」と恨みにすらなりました。





でも思うに、もしかしたら私も逆の立場になったら、


死別を経験した今でも、声をかけることに勇気がいるかもしれません。


だから覚えておこうと思います。


私自身が、あの時、声をかけて欲しかったこと。


苦しくて悲しい気持ちを、誰かに聞いてほしかったこと。




だけど決して「元気を出して」なんて言わないで、


「うん、うん、うん。」と相槌を打ちながら、


苦しい胸の内に寄り添ってあげられたらいいのかな…と思いました。

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