いつの間にか…。(2)
昨日書いた古い小屋のような家は、
今日、仕事帰りに見たら、
建物が全部なくなっていました。
解体って本当にあっという間ですね。
まだ木材とか瓦礫とかいろいろ残ってますけど、
すっかり空間が広がって、
前住んでたアパートが、道路から丸見え状態になってました。
そのアパートから小道を下って来ると、
国道に出る手前に、小屋のような家が左手に見えたものです。
木造で、屋根も壁も黒茶色がかっていて、
木の枝や草やらで緑に覆われてて、
ガラクタ的なものが投げ出されていて、
老人夫婦の生活が伺える風景でした。
だけど今や、重機があったり作業服を着た兄ちゃんが居たり、
すっかり「現場」になっていて、
枝も草も掃われちゃって、
ご夫婦の生活感はどこかに吹っ飛んで行ってしまったようです。
あのご夫婦はどうしたのかなぁ。
やはり時が過ぎて、老人ホーム? 病院? はたまた草葉の陰?
生きてる人全員に、平等に、時間は過ぎるんですね。
だもの私達の幸せだって、永遠に続くはずがなかったわけです。
部屋に戻って一人きりで、ご飯をよそって晩ご飯を食べながら、
ふと、旦那さんのご飯茶碗を仕舞った時のことを思い出しました。
確かまだ、そんなに時間が経っていなくて、
ともかく思い出すものを見たくなかったから、
お箸と汁碗とご飯茶碗を、新聞紙にグルグルと包んで、
シンク下の空きスペースに放り込みました。
そして、そのまんまになってます。
旦那さんが最後の晩に使った食器類を、
そんな粗末な放り込み方をして申し訳ないし、
切ない思いになるのだけど、
まだ、今、シンク下からそれらを引っ張り出す気にはなれません。
旦那さんの使ってた白地に青の模様のお茶碗と、
笠間で買ったお揃いの汁椀。
新聞紙をガサゴソと開いて、その思い出の品を見るなんて。
とてもとても。
傷口を開いて、塩を刷り込むようなこと。
とてもとても。
まだまだ時間が必要なようです。