仕事中は思い出さずに済むのですが、

ひとりでいる時は、ダメです。

思い出して、気持ちが沈みます。

9ヶ月前の今ごろ、もう救急車で運ばれて病院に着いた頃だな、とか、

今ごろ、先生から（助かる見込みがほぼないという）説明を受けた頃だったな、とか。

なんていうんだろう、あの時の独特の心理状態。

ゼリー状になった空気の中にひとりでポツンといて、

周りのすべてのことが、不思議に現実感がない感じ。

聞こえているようで聞こえてないし、

見えているようで見えていない。

ただただ目の前に、なんだかとんでもない大きな塊が「どん」とあって、

その塊の引力と重力で金縛りになっちゃってるような、

できるのは息吸う事だけくらいの、あの硬直した感じ。

そして、その、どんでもない大きな塊こそが「旦那さんの死」であることには、

その時は気づいていないのです。

旦那さんが死ぬなんてことは、私の生活上にはありえないことだから、

その大きな塊こそが、「喪失」という名の恐れ（虚無感）であることは、

あの時はまだ気が付いていませんでした。

9ヶ月前の今日、今ごろ、

無意識となった旦那さんをICUにおきざりにし、

へとへとになって、気持ちもボロボロになって、この家にたどり着いて、

食欲もないからこのまんま横になろう、と思ったけど、

ちゃんと眠るために、お風呂に入って体を温めようと思いました。

狭い風呂場に行ったら、

お風呂の排水栓がちゃんと閉めてあり、

足の悪い私のための入浴椅子が、きちんと、今すぐ入れるようにセッティングされてました。

旦那さんは朝起きて、いつものようにカーテンを開け、

お風呂の栓や椅子をセッティングしてくれたのです。

そして間もなく、パンクを直すために駐車場に行き、

倒れて救急車で運ばれ、病院で意識を失いました。

なぜ、こんな悲しいことが現実に起こってしまったのだろう。

私の友人達は、いや、世界中の多くの人たちは、

家族で団欒を囲み、幸せに暮らしているというのに。

なぜ私ばっかり、こんな苦しみを背負わなければいけないの。

不公平だよ。