思い出の場所
去年のこの時期、もうすぐ父の日だから、
離れて住む実父にいつものとおり菓子折りを送らなきゃ、と、
旦那さんが亡くなって半月も経たないのに、
まるで気持ちも足もずるずると引きずる思いで、
近くのデパートの食品売り場に出かけたのを思い出します。
今年は今日、去年と同じデパートで、いつものお菓子を父に送る手配を済ませて帰ってきたところです。
1年前のあの頃に比べたら、これでも本当に元気になったものだ…と、
我ながら、感心します。
今年の父の日は20日だけど、カレンダーを見たら、去年の父の日は21日だったんですね。
だから去年もちょうど今頃、デパートに出かけたものと思います。
あまり良く覚えていないんだけど、
何を想いながら、あのデパートの中を歩いたんだろう。
どんな表情をして歩いてたのかしら。
たぶん表情は固まったまま、一点を見つめて歩いていたに違いありません。
なんだかあまりに絶望が過ぎて、
まともに考えたり感じたりすることができなかったような、感覚がマヒしていたような記憶があります。
ありがたかったのは、仕事をしていたこと。
とりあえず毎日行かなきゃならない場所があって、
少しばかりですが、必要とされていたこと。
それがなければ、私の事だから誰とも会わず、多分、半病人のように寝たきりの生活になっていたような気がします。
実は近々そのデパートは閉鎖が決まっており、
来年の父の日には、別のお店から菓子折りを送らなければなりません。
そのデパート近辺は、旦那さんともよく買い物に行ったり、近くでお祭りがあったりで、
本当に思い出深い場所でした。
旦那さんとの思い出の場所が無くなることが悲しくて、寂しくて、
クルマに戻ってから、しばらく涙が止まらなくなりました。
そうやって、いろんなことがあの頃とは変わって行ってしまう。
だんだん、思い出さえ消えていってしまう。
それが諸行無常ということだけど。
生きているということなんだけど。