旦那さんと暮らした年月は、

私が人生〇十年生きてきて、一番楽しい嬉しい12年間でした。

…というよりか、旦那さんと出会うまで、

正直私は、自分の人生を楽しい嬉しいとは感じなかった人なので。

ただ惰性で生きていたというか、死ねないから生きていたというか、

そんな感じでしか、生きるということを捉えていませんでした。

だけど、旦那さんと会ってから、すっかりすべてが変わってしまいました。

穏やかで、人を笑わせることが好きな人だったから、

明るい笑いのある生活でした。

それに、行動的な人だったから、

休みの日に家にじっとしてなんていられない人でした。

ショッピングに行ったりドライブに行ったり、旅行に行ったり。

だから、彼と暮らしていたら、楽しいことがいっぱいでした。

今度はどこに行こうか？あれ食べに行ってみよう！

私にしてみたら、特に最初のころは驚きの連続でした。

人生ってこんなに楽しいんだ。

生きるって嬉しいことなんだ。

彼と暮らした12年間は、今までとは真逆の12年間でした。

その暮らしが、急に、いきなり、なくなっちゃった。

ひとりぼっちになっちゃいました。

家にいれば、たまに言う独り言のほかは、ずっと無言です。

ただただテレビの音だけがしています。

自分の顔の表情が、

無表情のまま、ずっと長い時間固まっていることに気が付きます。

以前は旦那さんと、喋ったり、笑ったり。

表情筋が固まる暇もなかったのに。

………。

明日は年に一度の健康診断です。

旦那さんが亡くなった病院に行ってきます。

あの時と同じ匂いの空気のなかに身を置くことが、怖い気持ちがしています。

いつも以上に旦那さんの死をリアルに思い出してしまいそうで。

皮肉だけれど、明日は、

私がこれから健康に長生きするために、

旦那さんが息を引き取った病院に行ってきます。